蜘蛛女のキスに恵まれてだらだらと~千穐楽編~

大倉くんが某公式ブログでさらりと、ほんとにさらりとだけど演じられたご本人なりの結末をお話ししていたので、私もだらだらと引きずりつつしたためようと思う。

 

 

 

何度も言ったけど、私はこの舞台に関して、FC先行も一般も当日券でさえも何一つ取れなかった。

が、友人にお誘いいただき、6月10日・6月17日観劇した。

 

 

6月10日は、所謂下手側。ヴァレンティン(大倉くん)側だった。

舞台が決まってから原作を読んだりしていたので、大体の話の流れは掴んでいた。結構これは正解だったかもしれない。

 

初見はほんと、ただただ目の前で大倉くんが演じていることが新鮮でたまらなかった。

担当の贔屓目かもしれないが、私は基本的に大倉くんの演技は自然で好きだなって思っていたし(怖い日曜日の演技は別として)、物凄く上手い!と思っているわけではないが下手だと思ったことがなかった。

ただ、私が初めて観た、ストレートプレイをする大倉くんはいつもの演技とは全く違っていた。

正直、大倉くんは舞台は合わないのかな?と思っていた私にとって舞台で大きな声で演技をする彼に圧倒された。

結末は、やっぱり原作通り悲しいな、と思った。

 

 

6月17日は、一人で観劇した。

翌日の千穐楽当日券をGetすべく電話を冗談じゃなく500回以上はかけていた(500回までしか表示出せないのよ)。

友人にも協力を募ったが電話はキャン待ちすら繋がらず、昼公演が始まってしまうので諦めて入る。

もうこれで最後かもしれない、と思いながら観るのは辛かったけど、観れる分有り難いのだ、と思いながら席に着く。

 

今回は上手側。モリーナ(いっけいさん)側の席だった。

下手側よりもよりヴァレンティンの行動が見易かった。この舞台は、大袈裟なセットが組まれているわけでもなければ派手な演出があるわけではなく(署長の登場はびびったけど)、終始監獄の中での演技のため、あまり死角になるところがないのはとてもありがたい。

強いて言えば、私の入った三階B席だと、上手・下手それぞれで舞台ギリギリでの演技が若干見辛い感じはあったけど、許容範囲。

特段大きなミスもなく、お二人の演技は完璧だった。

 

 

ほんとにほんとに贅沢な話だけど、一度、二度と回を重ねる毎にお二人が演じるキャラクターに感情移入しまくってまた観たい、ってなってしまうお芝居だった。

 

 

 

細かいことは某Twitterにて書いた通りなので割愛するが、めでたく千穐楽入ることができた。

夢かと思った。

ほんとに席についてからドキドキが止まらなくて、ほんとに夢みたいだった。

密かに夢だった、『自担舞台』の千穐楽に居られることが幸せだった。

 譲っていただいた方に、『本当に大倉くんが好きな担当の方が入るべきなので、是非入ってもらいたい』と言っていただけて本当に感謝してもしきれなかった。

 

暗転し初めて、あの独特のでかめの(毎回ビクッ!ってなってる人がいた)ギター音からの開演。

 

『その女はどこか~』

と、いっけいさんの語りが始まり、戯曲が始まる。

 

譲っていただいた座席は、一階上手側中程の席。目の前にモリーナのベッドがある場所だった。

 

千穐楽の緊張感なのか、客席は息を飲むように二人の会話に聞き入っていたし、いつもより明るくなるのが遅い感覚さえあった。

 

ぼんやり二人の顔にライトが当てられ、だんだん鮮明になっていった。

大倉くんの顔を肉眼で見た瞬間、千穐楽入れた感激で開始5分でひっそり泣いていた←

 

この戯曲の集大成でもある千穐楽という事で、お二人の演技もこれまで以上に熱がこもっていたし本当にそこには『ヴァレンティンとモリーナ』がいた。

 

途中何度か大倉くんが台詞に詰まったり、いっけいさんが言葉(単語)を言い直したり、いつもはやらない所でコーヒーこぼしたりしたけど、きっと演技ではなく本当にヴァレンティンとモリーナの会話だからこその自然さなんだろうなって思った。

 

多くの人が語っていたけど、千穐楽のマルタへの手紙のシーンは、本当に鬼気迫る演技だった。意識が朦朧としながらも、マルタの事を考えた瞬間だけはふっと笑ったり、その笑った瞬間モリーナが少し寂しそうな表情をするのも堪らなかった。

 

それまではずっと、母親のためだけに生きることを望んでいたモリーナが、ヴァレンティンに出会いヴァレンティンに恋をして、『ヴァレンティンに自分の事を好きになってもらいたい』『ただ、愛情が欲しいだけ』と打ち明けたのは、本当に勇気がいっただろうし(二人きりだし、ヴァレンティンはノーマルだし)、でも、そんなモリーナの気持ちを馬鹿にするでも無駄にするでもなく、優しく受け入れて笑うヴァレンティンの無邪気さね˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚.

 

ヴァレンティンに、『人間の尊厳』を大切に、と言われたモリーナは本当に嬉しかっただろうし、それがヴァレンティンからの最高の愛情だって理解したんだろうなー。

いつも馬鹿にされていた自分を馬鹿にすることなく、ヴァレンティンなりの愛情をモリーナに注いでくれた彼のために生きたい、と思ったからこそのラストシーン。

 

 

真っ白な光の中でお互いの最期を語り合うシーン。

ヴァレンティンがモリーナの最期を話しているときのモリーナは、全てを悟っているかのように本当に優しくて母性のような笑顔で聞いていて。

逆にモリーナがヴァレンティンの最期を語っているときは終始不安そうな表情を浮かべているヴァレンティン。

二人のこの表情の表現もまた、本当に素晴らしかった。

 

 

最後にドアがあき、モリーナが監獄を去るシーン。

 

名残惜しそうに、ヴァレンティンの背中は本当に寂しそうだった。

一方、モリーナの後ろ姿は本当に生き生きとしていて、希望に満ちていて、とてもかっこよかった。生きるための意味を見出だしたモリーナはかっこよかった。

 

観る手側が色々と考えさせられる作品だったけど、きっと二人は幸せだった。最後の瞬間まできっと。

それは、ヴァレンティンである大倉くんが感じたのだから。

 

 

 

戯曲はここで終わり、エンディング。

 

暗転した瞬間、割れんばかりの拍手。

二人が出て来て、頭を下げてはける。

いっけいさん、と言うかモリーナは、感極まって泣いていて、私もそれみて泣けてきた。ヴァレンティンは本当に誇らしい笑顔を浮かべていた。

 

 

鳴り止まない拍手に、また出てくるんだけど、本当にここはみんな思わずスタオベしてしまった、ってくらい一斉に立ち上がってて。

 

 

三度目、二人は胸に拳を当ててお辞儀をして。

そして大倉くんは扉に向かいながらガッツポーズ、扉を閉める瞬間、体いっぱいでガッツポーズをした。千穐楽まで走り抜けた達成感だったんだろうなあ。あれが大倉くんの、蜘蛛女のキスに対しての全てだったと思う。

 

 

そして四度目まで出てきてくれた˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚.

四度目に出てきてくれたときは、二人が上手側を向き、そちらから演出の鈴木裕美さんが出てきてくださった。

最初にいっけいさんから。 

 

渡辺『えー、今日を持ちまして。ヴァレンティンの中の人を皆さんにお返しします^_^』

 

この瞬間に笑い崩れた大倉くんがほんとにいつも見る大倉くんの笑顔だった。

 

大倉『(笑)あの、いっけいさんが最後にどうしても一言だけ言わせてくれって言ってたんですよ。あの…(笑)はい、ありがとうございました。

初めてのストレートプレイの舞台という事で、僕が今後演劇を嫌いにならないようにっていっけいさんや裕美さんが凄く優しく教えてくださって、嫌いになるどころか大好きになりました!次に皆さんの前に立つときは、大倉忠義ではない違う誰かで皆さんの前に立てるように頑張ります!』

 

こんなに話してくれるとは思ってなかったから凄く嬉しかったなー。

大倉くんが、舞台が大好きになったって言っていて、さらに今週のレンジャーでもあのようなことを言っていて本当に嬉しかったし、こっちこそ本当に誇らしいなと思った。

大倉くんの初主演舞台が蜘蛛女のキスで、これは本当に代表作になったと思うし大倉くんにとっても凄く宝物になったと思う。

 

あ~終わっちゃったなあ…

舞台にしては珍しく、東京のみ、グローブ座のみの公演。

5月27日から6月18日までの、本当にこの夢は短かったけど、短くて幸せな空間だったな。

 

また、大倉くんの舞台が観られる日が来ますようにっ!!